生命を守る“炎”を生み、安らぎも得られる!
一次避難リュックにシングルバーナーを入れる5つの理由
いつでもどこでも湯沸かしができる優れもの=シングルバーナーですが、じつはシングルバーナーを持っていないキャンパーもいるそう。
キャンプインストラクターであり防災士の野あそび夫婦・エリーさんに、シングルバーナーの魅力と防災視点での使い勝手を教えてもらいました。
アウトドアで最高のひとときをもたらすコーヒータイム
家族とのキャンプや水遊び、気の置けない友だちとのハイキングやポタリング…自然の中でゆったり過ごすのは最高の休日です。
そんなとっておき時間を格上げしてくれるのがコーヒータイム。
お昼時に自宅で作ったお弁当を広げるだけでもいいのですが、そこにちょっとしたお菓子とあたたかな飲み物を添えるだけで空気がガラリとかわります。
大げさなことはしなくても、身体にやさしいあたたかな飲み物を口に含むことでいつも以上にリラックスできるのですから。
「使うのが難しそう」がシングルバーナーを使っていない理由No.1
自然の中で過ごす時間を豊かにしてくれるシングルバーナー。しかし、今年2日間で12万5000人が来場したアウトドアイベントで日本ガス石油機器工業会がアンケートをとったところ、アウトドアやキャンプが好きな人の約3割が「シングルバーナーを持っていない」と答えたそうです。
シングルバーナーを持たない理由トップ3は「使うのが難しそう・怖い」「選び方がわからない」「焚き火や炭火で十分」。
「キャンプ民泊NONIWA」、暮らしと外遊びの店「GRID」を運営。キャンプインストラクターだけでなく防災士の顔をもち、車中泊やテント泊と防災を組みあわせた「防災×キャンプ」講座も積極的に行っている。
https://noniwa.jp/about-noasobifufu/
そこで、野あそび夫婦・エリーさんにシングルバーナーのホントの実力について教えてもらいました。
幼少期から自然の中で遊んできたエリーさんは、カセットボンベ、OD缶、ガソリン、焚き火などあらゆる燃料の熱源を使いこなしています。そんなエリーさんにとってシングルバーナーはどんな存在なのでしょう。
すごいぞ! アウトドア用のシングルバーナー
ひとくちにシングルバーナーと言っても、燃料によって性格が変わります。
ガソリンやアルコール、灯油を用いるものもありますが、現在の主流はガス。
大きくわけてカセットボンベ(CB缶)とOD缶があります。
カセットボンベは1960年代後期、家庭で鍋物を手軽に楽しめるよう日本で誕生しました。一方、OD缶はそれ以前に登山などで使うためにヨーロッパで開発され、1970年代に日本でも現在のように販売されはじめました。
どちらもとても便利に使える燃料ですが、野外で使うために開発されたOD缶はパワフルで風にも強い! しかもコンパクトで携帯性にも優れています。
その後にカセットボンベのツーバーナーを購入していました。
大人になってアオといっしょにキャンプするようになり、最初に買ったのがOD缶のシングルバーナー。小さいけれど風に強くて火力も十分。アウトドアへ持ち出すために作られた道具の使いやすさに感激しました。」
現在ではアウトドアでの使用にこだわったCB缶もありますが、より過酷な使用環境に対応するのはやはりOD缶タイプのシングルバーナーです。
シングルバーナーは防災面でも頼りがいあり
近年は大地震のリスクだけでなく豪雨被害が頻発化していて、一次避難リュックを持って一刻も早く、家から出て避難することが他人事とはいえなくなりました。
アウトドアで活躍するシングルバーナーは、避難時に持ち出せば多少風がある場所や寒い時でも人の生存にとってとても大切な“炎”を確保でき、非常に重宝します。
カセットボンベとカセットこんろは1970年代にはすでに「防災に役立つ」と認知されていました。
さらに宮城県沖地震、阪神・淡路大震災、東日本大震災と大きな災害が発生するたびに災害時の備えの品としての認知度が高まってきました。
そのため防災=カセットボンベの印象が強いのですが、多くのカセットこんろは室内利用が前提として作られているため風のある屋外や低温時にはうまく使えなかったという声も。
一方、OD缶は屋外使用、リュックにいれて持ち運ぶことが前提なのでガス漏れや変型をしづらく、安全に保管・持ち出せるのがメリットです。
そのため、OD缶用のシングルバーナーとカセットこんろの両方を用意し、OD缶のバーナーはリュックに入れて一次避難用に、カセットこんろは長期の自宅避難用に使い分けるのがベストなのです。
一次避難では、まず“命を守ること”が最優先ですが、その後、避難先で数時間から一日程度過ごすことになります。そんなときにお湯を沸かすことができると食事だけでなく心にも少し余裕が生まれます。
カップ麺やフリーズドライ食品が食べられるだけでなく、あたたかい飲み物を飲めたり、赤ちゃんのミルクや体をあたためるためのお湯を用意できたりと、使い道は意外と多いんです。」
シングルバーナーの使い方ってとっても簡単
キャンプ初心者にとって「シングルバーナーは操作が難しい」という印象があるようですが、決してそんなことはありません。
基本操作は3ステップ。
①バーナーに燃料を取り付ける
屋外の平らな台にガス缶を置いて、バーナーを取り付けます。台のそばや周囲に燃えやすいモノがないこともチェックしておきましょう。
なお、木製の台は万一の焦げ防止と、缶の結露によるシミ防止のためにシートを敷いておくと安心です。
②シューッという音が聞こえるまで燃料バルブを開く
燃料バルブを開いて燃料を出します。ガスの音が聞こえるまでゆっくり開きます。
③ほとんどのシングルバーナーはライターなしで点火
燃料バルブを開いたまま自動点火装置を操作すると、火花が飛んで点火します。大半のシングルバーナーには自動点火装置がついていて、ライターなしで点火可能。簡単です。
一部の自動点火装置がないモデルは、ライターやマッチなどの小さな火を近づけて点火しましょう。
5つのポイントさえ気をつければ怖くない!
日本で販売が許可されているシングルバーナーは法律で定められた検査を通過したものだけ。
◇PSLPGマークがその証です。
安全に使用するために
OD缶もシングルバーナーも安全性が高いのですが、間違った使い方をすればやけどなどの危険があります。
- 「必ず風通しのよい屋外で使用する」
- 「安定した台の上で使う」
- バーナーごとに対応する鍋の大きさが異なるので「対応する鍋を使う」
なお、シングルバーナーはほぼメンテナンスフリー。噴きこぼれなどの汚れ落としさえしておけば大丈夫ですが、ひどく古いシングルバーナーは、Oリングなどのゴム部品の経年劣化によるガス漏れの危険性があるため、買い替えをおすすめします。
今度の休みはシングルバーナーを持って野に出よう
だれもが簡単に使え、防災面でも役に立つOD缶タイプのシングルバーナー。
これからナチュラムで手に入れる人も多いでしょう。ただ、持っているだけでは備えとしては50点。
普段からキャンプで使っている道具を防災にも活用することで、“持っているだけの防災用品”ではなく、いつでも安心して使える備えになると思っています。」
使い方に慣れ、さらに燃料や水、保存食を順番に使うことでいざという時にも慌てずにすみます。
折しも9月=防災月間の真っただ中。
みなさんも次の休みに新しく手に入れたシングルバーナーを持ってアウトドアへ出発しましょう。無理なくできる防災訓練です。
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